2016年12月17日

アヤコさん







イツキが上がりの時間になると、店長の妻が来て、イツキをチョイチョイと手招きする。

「……な、イツキちゃん、昨日のアレ、誰?」

店長の妻はくるくるのショートヘアーが似合う小柄な女性で、少し、大阪のおばちゃんのようなノリで、気さくに話しかけてくるタイプだ。

「あ…、ごめんなさい、アヤコさん。変な心配、かけちゃいました…」
「誰?…コワイ人?……そんなん、知り合いなの?」
「えー……と」


よもや真実は言えず。
どう答えようかとイツキは口をぱくぱくさせて、少し、考える。


「…知り合いです。…コワい人だけど、そう、怖くはないです。…多分。
近くで仕事をしていて…、ちょっと…、見に来ちゃったみたいです……」


そんな、曖昧な事を答えて、イツキは困ったように微笑む。
アヤコは疑問が晴れた訳では無かったが、まあ、心配していたライバル店の嫌がらせでも無かったので、とりあえずそれでよしとする。


「…そんなら、まあ、いいわ。今度は店先突っ立って無いで、中、入って来てねって、言っといてね」
「…はい」


それは、それで困るだろうと思いながらも、イツキはそう言って、ぺこりとお辞儀をした。








「……あの人が、イツキちゃんのカレシなんでしょ?」



ミツオがまた音もなく、イツキの傍に寄り、急に耳元で話しかける。



posted by 白黒ぼたん at 23:00 | TrackBack(0) | 日記
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