2016年12月18日

素直な感想






ミツオは、イツキに年上のカレシがいる事を知っている。
以前、酒を飲みながら、カレシが威圧的でまるで自分を所有物扱いで酷いと、愚痴を零したのだ。

イツキは急に話しかけられ、肩をびくんとさせ、驚く。
そしてミツオの顔を見上げ、なんと答えようかと迷い、とりあえずふふふ、と微笑む。


「…おっさんじゃん」
「…ええっ」
「結構なおっさんだよね?……すげぇな…」


その「すごい」が何を意味しているのか解らなかったけれど、ミツオは感心したように何度か頷き、イツキを見る。
…確かに、うっかりすると親子と言われかねない歳の差なのだ。
自分と黒川が普通の恋人同士などとは思ったことはないが、そう思うとやはり異様な二人なのだろう。


「あれじゃあ…、イツキちゃんの事、可愛くて仕方ないよなぁ…。絶対、手放さないよなぁ…」
「……そんなこと…ない…と、思うけど…」
「いやいやいやいや…」

「…ミツオくん、次、カットお願いします」



まだ話し足りないとミツオが身を乗り出したところで、後ろから髭の店長の声が掛かる。
ミツオは「はーい」と返事をし、それから小さな声で「クソ」と唸り、イツキと視線が合うと、ニコリと笑う。



「…ま、明日、話そ。夜、メシ、行けるでしょ?」
「…うん」
「イツキちゃんの、お疲れ様会だからね。二週間、早かったよね」
「…ん」



ミツオに手を振って、美容室を後にする。

美容室の手伝いは、明日が、最後の日だった。




posted by 白黒ぼたん at 22:00 | TrackBack(0) | 日記
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