2016年12月21日

眠たいイツキ







夜。イツキは部屋に一人。
今日は黒川は本当に、横浜に泊まりでこちらには来ないそうだ。
イツキは風呂に入り、夕食にと買ってあった弁当を温め、冷蔵庫から缶ビールを出してリビングのソファの足元に座る。
テレビを付け、ケータイを確認し、カレンダーの日付を眺め、小さな溜息を付く。


もう、夏休みも最後の週。
美容室の手伝いも、明日で最後だった。


「…早かったな…。2週間、…くらい?……俺、よく頑張った…」


イツキは声に出してそう呟いて、自分でふふと笑う。
確かに、イツキにしては、今回はよく頑張っていた。
世間一般でいう「仕事」を、ちゃんとこなすことが出来た。
それは自分でも一種の驚きで、自信と、微かな希望に繋がるものだった。




その間の黒川は、馬鹿にした様子はあったものの、別に、酷く邪魔をする訳でもなく
むしろ少し、優しくて、イツキを気にする素振りも見せていた。
……手の内にあったイツキが、外の世界に触れることの、不安や心配…、独占欲……そんなものがあったようだが。

『…次の土曜日、渡辺建設の社長とメシだ。付き合え。…美容室の手伝いが出来るんだ、俺の仕事だって、手伝えるだろう?』

笑って、平気で、そんな事を言ったりする。
イツキには、黒川の真意は、まだまだ、まだ解らない。




「……明日で最後…、ちょっと…残念。……楽しかったな…」


テレビを眺め、弁当を口に運びながら、そう呟いて、大きな欠伸をする。
うっかり箸を握りしめたまま寝そうになり、今日は早めに、布団に入ろうと思うのだった。




posted by 白黒ぼたん at 00:28 | TrackBack(0) | 日記
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