2017年01月09日

意地悪な梶原







気に入らない事と言えば、
やたらとイツキに顔を近づけて話をする清水や、それに向かって穏やかに微笑むイツキや。

いつの間にか始まって終わった、美容室のバイトも気に入らない。
様子を見に行ったそこは、自分とは違う世界の様で、落ち着かなくて。
ミツオとかいう男も気に入らない。
普通に恰好良くて、大人で、イツキに…自分よりも多くの事を教えてあげられそうで…嫌だ。

何もかも、単純なヤキモチだとは、解っているけど。

梶原は溜息をついて、手に持っていたペンを、くるくると回し続けた。




「ね、梶原。聞きたい事があるんだけど…」



ふいに、イツキが目の前に来て、梶原は驚いて顔を上げる。
相変わらずの白い肌。夏を過ぎたというのに、日焼けした様子もない。
ふわふわと揺れる茶色い髪は、美容室でのバイトのおかげなのだろうか、以前より整い綺麗に見える。

甘い、匂いもする。



「…な、なに?」
「あのさ。……例えば、なんだけどさ。……俺が、美容室とか、そういう所で働くのって…、何か、資格とか…何か。…必要なものとか、…あるのかな?」
「……美容師になりたいの?」
「そこまでは考えないけど…、ああ、でも、そういう勉強が必要なのかな…、仕事の手伝い…的な…?」


どこか照れたように微笑み、大切な秘密をそっと打ち明けるように話すイツキに
意地悪を言うつもりは…なかったのだけど。



「美容師なんて国家資格だよ。ちょっとバイトしたからやってみようかな、なんて、簡単なもんじゃないよ。
専門学校だって、今からじゃ無理だろ。卒業だってギリギリなんだからさ」



そんな言葉が口をついて出てしまった。



posted by 白黒ぼたん at 23:08 | TrackBack(0) | 日記
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