2017年01月13日

イツキの思惑






「誰と電話?……カレシ?」
「…ううん。…友達」


イツキはケータイを横のクッションの上に放ると、差し出されたグラスを受け取る。
新しい氷がカラカラと鳴る。
綺麗な色のカクテルは、見た目とは違い、実はなかなかアルコール度数が高い。

勿論それは、イツキを早く酔わせる為のもので
その事にはイツキも、半分、気が付いている。


ミツオも自分のグラスを持って、イツキの斜め向かいの椅子に座る。
まさかこんなに気軽にイツキが自分の部屋に来るとは思っておらず、少し、緊張する。


「もう、こんな時間だもんね。…平気?」
「……んー。これだけ頂いたら、…帰ろうかな…」
「帰る?」
「……帰る?」


ミツオの問いかけに、逆に問いかける様に同じ言葉を返し、イツキは微笑む。
誘い文句がどこまで本気なのか、ミツオはグラスに口を付け、イツキの色香に飲み込まれないように気を張る。

相談したい事があるとイツキから連絡があったのは、丁度、早上がりの仕事が終わった時だった。
冗談交じりに、自分の部屋なら酒が飲めるよと言うと、イツキは、そうしようかなぁと、言う。
駅前で待ち合わせ、途中、コンビニに寄って、缶チューハイや菓子などを買う。
買い物袋を持ち、二人で並んで家に帰るなど恋人同士のようだねと、二人で笑う。


「…イツキちゃん、二週間ちかく一緒に仕事してて、その間は、全然、その気、無かったのにね」
「仕事の間はね。…ミツオさんだって、全然、だった…」


部屋に上がる頃には、二人は、手まで繋いでいた。



実はこれだけ緩く無防備なイツキは珍しく、……こんな時には決まって何か、別の思惑があったりするのだけど……
ミツオはそれを、知らない。



posted by 白黒ぼたん at 21:33 | TrackBack(0) | 日記
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