2017年03月06日

馬鹿な子・15







黒川は指を二本立て、「コレでいいぜ」と言う。
加瀬はようやくズボンに足を突っ込み、ベルトをカチャカチャやりながらそれを見る。


「…2、…二万?」
「阿呆。桁が違う」
「……二十万…?」
「もう一つだよ」
「…ばっ…馬鹿な…、そ、そんな話があるか…!」


法外な額を吹っ掛ける黒川に加瀬は思わず声を荒げる。
そして、これ以上話を続けても意味が無いと言わんばかりに、顔を顰め、黒川の脇をすり抜け部屋を出ようとする。



「…ぎゃッ」



瞬間、黒川の腕が加瀬の目の前に伸び、その胸ぐらを掴み、壁に押し付ける。
片手で十分だった。片手で、加瀬の動きを封じ、締め上げる。

身体を寄せ、顔を近づけ、鋭い視線で加瀬を射貫く。





「馬鹿はお前だ。イツキは俺のものだ。それくらいの対価は払ってもらうぜ」

「……ひっ…い…っ」


加瀬は、次には殴られるのではないかと怯え、顔を手で隠す。



けれどそれは杞憂に終わる。

加瀬が薄目を開け黒川の様子を伺うと、黒川はニヤリと笑い、胸倉の手を緩めた。





posted by 白黒ぼたん at 22:10 | TrackBack(0) | 日記
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