2017年03月26日

後始末






学校。副理事室。
ノックの音の後に入って来たイツキの顔をチラリと見て、加瀬は不機嫌そうに「……何?」と聞く。


「……えーと。……ちょっとお話が…」
「私は、無いよ。……帰りなさい」


以前とは比べものにならない程、素っ気ない様子で、加瀬は手をひらひらとやる。
そこそこの地位も権力もあるオトナが、事の最中に真っ裸で追い出されては、態度を改めるのも当然だろう。

とんだ恥をかかされたと加瀬は不機嫌面で、イツキを睨みつける。
イツキは、…申し訳なさそうに小さく微笑み、加瀬の傍に歩み寄る。


「…聞いていた話と違うけどね。…バックに、あんな人がいるなら、私も考えるよ」


加瀬の「聞いていた話」というのは、イツキの立場的な話で。
もともと加瀬はイツキの事を「西崎の所でそういった仕事をしている子」ぐらいにしか聞いていなかった。
後になって、イツキが西崎の上役の黒川に可愛がられていると知ったのだけど、まさかあんな風に助けに入るほど、護られているとは思わなかった。


「……いつもは、俺のすることなんて、気にもしない人なんだけど…。この間は、なんか、たまたま…。……せんせ、気、悪くした?」
「悪くしない奴なんて、いないと思うけどね!」
「……そうだよね。……ごめんなさい…」


イツキの、どこかふわふわとした口調や、そこで謝る理由が、どうにもピンと来ず、
加瀬は怒るというよりは呆れて、ふんと、大きく鼻息を鳴らす。



「で、何?…話って?」





posted by 白黒ぼたん at 16:00 | TrackBack(0) | 日記
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