2017年03月29日

静かな時間






午後の授業が終わり大野が図書室へ行くと
隣の秘密の小部屋、資料室で、イツキが昼寝をしていた。
窓側に置かれた古い長椅子に寝転び、くうくうと、寝息を立てている。

大野は軽く驚くのだが、イツキがここを、授業をサボる時の避難場所にするのはよくある事だし、そもそも、ここの合鍵を渡したのは自分なのだし。
それは、それで。二人だけの秘密のような気がして、少し嬉しかったりする。



「……ん。……おーの、だ。……いま、何時……?」
「もう3時だよ。授業、終わったぜ」
「うそ。……俺、昼休みだけ…、ちょっと、寝ちゃおうかなって……って、思ったのに」



物音で目を覚ましたイツキは、長椅子の上で猫のように身体を伸ばし、丸める。
うっかり寝過ぎてしまったと言う割には、別に、反省する様子もない。


「相変わらず呑気だな、お前。3年のこの時期に、授業サボりとか、よくやるわ…」
「…今日だけ。…ちょっと、気が抜けたって言うか…、ほっとしたって言うか、……ひとだんらく、したから……」
「…ん?……何か、あったのか?」
「……んー。……でも、もう、おしまいになった…」



あまりに穏やかに微笑んで、イツキがそう言うものだから
大野はイツキから目が離せなくなってしまう。

しばらくして、午後の授業に出なかったイツキを心配して、梶原が部屋を訪れるまで

二人きりの、静かな時間は続いた。




posted by 白黒ぼたん at 21:33 | TrackBack(0) | 日記
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