2017年04月02日

夜のふたり







「おかえりなさーい」


黒川が部屋に戻ると、まさに西崎が話していた通り、そこにはイツキがいた。
実を言えば、今日は、その予定ではなかったので…黒川は軽く驚く。
イツキはソファに寝転び、深夜の適当なテレビ番組を眺め、黒川の姿を見るとニコリと笑う。



「……なんでこっちにいる?……何か、約束したか?」
「ううん。…服とか本とか、取りに来ただけ。でもご飯食べたら、眠くなっちゃって…」


テーブルの上には、お気に入りのエキナカの店舗の包みが並んでいた。
シチューや、バゲット、サラダにパスタ。どれもイツキが一人で食べるには多すぎる量だ。


イツキ自身、黒川を待っていたという事実が照れ臭いようで…少し、落ち着かない。
飲みかけだったワインのグラスを手に持ち、「……ちょっと、飲んじゃったし…」と、言い訳を足してみる。



「花うさぎに行っていた。俺も少し、飲み過ぎたな」

黒川はネクタイを解きながらそう言い、イツキの隣に座る。
揚げたポテトを手で摘み、口に放ると、そのまま指先をぺろりと舐める。

「…あ、何か飲む?…水、入れて来ようか?」
「いや」


立ち上がりかけたイツキを止め、黒川は、イツキの身体に寄りかかる様にもたれる。
そしてそのまま、特に何を話すでもなく、テレビ番組の続きを眺めるのだった。





posted by 白黒ぼたん at 23:29 | TrackBack(0) | 日記
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