2017年04月10日

朝の教室・4







いい加減この頃になると、イツキにも、今日の清水は少しおかしいと気付く。
重ねられた手を引こうとするも、清水はさらに上からぎゅっと握り、様子を伺うイツキを見て、ニヤリと笑う。


「……先輩。……何かあったんですか?」
「何もねぇよ。……無いから、何かしたいのかもな……」
「……何も無いのって、……良いじゃないですか。……問題が無くて、穏やかって事でしょ?」
「……イツキ」



清水はぐっと身を乗り出し、イツキと顔を突き合わせる。
ふわりと立つシャンプーの柑橘系の匂いは、どちらのものか解らない。
お互い、数時間前まで、別の相手と一緒にいたくせに
その余韻も冷めない内に、他の相手を、感じてしまう。


「イツキ。問題が無くて、穏やかで、…お前は今、それで満足してんのか?」
「……満足、…してるよ。……俺は、別に……、不満なんて、ないもん……」
「…そう?……黒川さん、そんなに、いーんだ?」



まるでからかうような清水の口ぶり。
あきらかにカラダの満足度を伺っているのだと解り、イツキは初心な小娘のように顔を赤くする。

その顔を見て清水は、あらためて、イツキへの想いを、……思い出す。




身の内にどれだけ淫猥な欲情を隠していたとしても
イツキは素直で、可愛く微笑む。
抱き締めて、傍にいて、この幸薄さそげなコをどうにか守ってやりたいと

思った、あの時の熱が、ぶり返す。






posted by 白黒ぼたん at 23:33 | TrackBack(0) | 日記
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