2017年04月14日

はやり病






その数日後。
イツキも、油断していた訳では無かった。


学校の昼休みや放課後や、常に梶原の隣りにいて、一人きりにならないようにしていた。
梶原がいない時には、さして仲の良くないメンバーの近くに寄り、いかにも友達ですという風に愛想笑いを浮かべた。
清水からの、お茶やお酒やホテルへの誘いのメールは、明るい冗談を交え丁重にお断りする。
とにかくこのまま波風を立てず、はやり病のようにふいに昂ってしまった清水の熱を、やり過ごそうとしていた。







イツキが、
清水をどうでも良い相手と思って、無碍に遠ざけた。

訳では、無いと、

今更清水にバレた所で、現状はなにも変わらないのだろうけど、



清水には、後悔の念があった。






「イツキ、今日、晩メシ一緒に食べない?現国の課題、一緒にやろうぜ?」
「やらない。じゃあね、梶原。ありがとう」


ボディーガードよろしく、梶原に家の近くまで送って貰ったイツキは、
ありがとうとニッコリ微笑み、ひらひらと手を振る。
…梶原には、いつかきちんと礼をしようと思ってはいるのだけど、それは今では無い。



怪しい人影がないかキョロキョロ伺いながらマンションに入り、エントランスの扉を開け、エレベーターに乗り込む。
こんな時には向こうの、二人の部屋に帰っても良いのだけど、黒川が仕事でしばらく不在の時に、あの街にいるのも、…少し、怖い。

まあ、こんな心配も取り越し苦労で、…何も、問題は、起こらないだろうと…自分に言い聞かせる。




部屋の鍵を開け、中に入る。



扉が閉まる一瞬の、その隙間に、ガツンと男物の靴が、挟まる。





posted by 白黒ぼたん at 22:00 | TrackBack(0) | 日記
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