2017年04月21日

はやり病・5







イツキは腕を突っ張ったり、振り回したり。清水の髪の毛を掴んだりして、どうにか唇だけを離す。


「…駄目です……」


半ば、泣きそうな声でそう呟くも、抱き留められた清水の手は緩む事は無かった。
このまま力づくで押さえられ、コトが始まってしまうかも知れない。
そうなった時に、本気で嫌がる自信が、イツキには無い。
…しかも、…今日はこちらには来ないと言った黒川が、本当に来ないかはどうかは、イツキには解らないのだ。



「……駄目。……先輩、駄目です」
「…大丈夫だよ」



何が大丈夫なのかと、イツキは目の前の清水の顔を覗き込む。
清水は笑い、もう一度イツキにキスをして、そして

イツキの肩に手をやり、とても重たいものをどうにか動かすようにして、その身体を、自分から少し、離すのだった。





期待していた訳でも覚悟していた訳でもないが、イツキは拍子抜けし、驚いた顔で、清水を見直す。
その顔を見て、清水はまた笑う。


「何だよ。続きが無くて残念って顔だな」
「…そ、そんなこと、思ってません」
「大丈夫だよ。…無理やりなんて、やらねぇよ」



そう言って清水は、廊下の壁にもたれ掛り、ポケットから煙草を出し、口に咥えるのだった。





posted by 白黒ぼたん at 19:20 | TrackBack(0) | 日記
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