2017年05月04日

朝のふたり







物音で黒川が目を開けると、ベッドから抜け出したイツキが、着替えをしていた。
明け方に部屋に帰って来て、一眠りして、今は昼前、と言ったところか。


「……どうした?」
「ん。……ガッコー、いく」
「……はぁ?」


黒川もベッドから起き上がる。
煙草を探そうとそこいらに手を伸ばしていると、イツキがボードの上から取り、黒川に手渡す。


「馬鹿か。そんな精液臭いカラダで出掛けるなよ」
「…ちゃんと、お風呂、入ったもん」
「それ位で消えるかよ、まだ、匂うぜ?」


煙草に火を付け、吹かしながら、黒川はそう言って笑う。
…実際、匂う訳ではなかったが、そう言われても仕方が無いほどの事を、数時間前まで行っていた。
ベッドの足元には、途中、あまりにも濡れて気持ち悪くなったシーツが、丸めて置かれている。
多分、クリーニングはしない。この部屋でシーツは、ほとんど、使い捨てだった。



イツキは、黒川に言われ、自分で自分の腕あたりをくんくんと嗅いでみる。
風呂上がりの優しい石鹸の匂いしかしないが、言われてみると、なんとなく気になる。
そんな様子のイツキに、黒川は声をあげて笑って、最後にもう一度念を押すように



「……行くなよ」




と、言うのだった。



posted by 白黒ぼたん at 13:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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