2017年05月09日

均衡・2







今回の黒川の仕事は、大損、とまでは行かないものの、かなり分の悪い条件でまとまった。
しかも、最終的に、「イツキ付き」で。

多少は申し訳なく思っているのだろうか、黒川は甘いセックスの後でその話を切り出す。
イツキは、物分かりよろしく、いやにあっさりと承諾する。

後日、クリーニングから戻ったばかりの黒いスーツを身に纏い、約束のホテルへ向かう。
…学校の制服よりも、良く似合うのは知っていた。自分の身体も、この服も、休む間が無いな…と、小さく笑った。




相手は、以前にも何度か会ったことがある壮年の男性だった。
黒川と同じような仕事をしているのだろう、同じような、匂いがする。
紳士らしく、そう酷い扱いはしない。
逆に大事にされ過ぎると、イツキは困ってしまう。

うなじから首筋。肩口、薄い胸。
服も脱がされずにキスばかり繰り返されて、イツキは腰をもじもじと揺する。
時間を掛けて丁寧に準備されると、それだけでイツキは勝手に、溶けだしてしまう。
触れられてもいない場所が、感じてしまう。一度、始まると、もうイツキにも止められない。

『…君みたいな子、他にはいないよね。…面白いカラダだよ、本当に…』

駄目と言いながら身体を痙攣させ、股を開き男を誘うイツキに、男は遠慮なく、欲情をぶちまけるのだった。






「……っち。聞いてる?佐野っち?」
「…あ、ああ?」
「…でね、この前、梶原と行った大盛ラーメンの店が凄くてね、チャーシューが山みたいに積まれててね……」


情事の後。いやに明るく、どうでも良い話をするイツキに
佐野は頬杖を付きながら、適当な相槌を打つ。


こいつはどんな気持ちで、好きでもない男に抱かれて来たんだろうと思う反面、

頭の片隅では常にその時の、乱れた、いやらしい姿が、ビデオのように再生されていた。




posted by 白黒ぼたん at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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