2017年05月24日

無邪気な笑顔






教室で清水は梶原からの視線を感じていた。
直接ではなく、人垣の合間からとか、読んでいるフリの教科書の向こうから、とか。
最近は、梶原の怒りを買う事も無かったはず…と、清水はさして気にもしていなかったが
まあ、からかい半分、声を掛ける。




「…ナニ?…俺に用?」
「……いえ、別に」
「チラチラ見られるの、気になるんだよね。…告白でもする気?」
「違いますっ」


思わず大きな声が出てしまい、梶原自身、驚いて、辺りをキョロキョロ見てしまう。
少し離れた場所にいたイツキには、聞こえてはいないようだ。

梶原がイツキを見た事で、清水もイツキを見る。
そしてもう一度梶原を見ると、梶原は物憂げな表情で、大きく鼻で息をする。



「……清水さんは…」
「ん?」
「清水さんは、……イツキと、…シた事、あるんですよね…。……その、……思い出して、……変な感じになったり、しません?」



大真面目な顔で梶原がそんな事を言いだすので、清水は一瞬、言葉を無くす。
何かあったのか…、いや、何も無いからこそ、今だに、そんな夢想に頭を悩ますのだろう。
気の毒にも思うが、それ以上に滑稽で、


「バーカ。中学生かよ。そんなもん、適当にヌいて来いよ。」


清水が笑いながらそう言うと、梶原は聞いたのが間違いだったと、拗ねた様子で顔を背ける。




気配に気づいたイツキがこちらを見て、無邪気に、微笑んでいた。




posted by 白黒ぼたん at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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