2017年05月28日

今夜のふたり・1







真夜中。
一ノ宮が事務所で一人、雑用を片付けていると、イツキがやってくる。
少し酔いが残り、少し、ヤリ足りない身体で、どこかふわふわとした様子。



「……マサヤ、……いないの?」
「横浜ですよ。イツキくんは渡辺社長との…会食でしたか。お疲れさまです」
「…俺が身体、張ってんのに、…あいつ、迎えにも来ないの。……サイテー…」



そう言ってイツキはソファに腰を沈め、ふふ、と笑う。
今更、自分がしている事への疑問や、それをさせている黒川への不満を、蒸し返すつもりはない。


ただ、少し、愚痴を言ってみたいだけなのだ。


それは、一ノ宮にも解っている。




「すみません。…私が行けば良かったですね。渡辺社長にご挨拶もありましたし…」
「ううん。一ノ宮さんは気にしないでいいよ。…ちゃんと、送って貰ったから、大丈夫」
「…ああ、何か入れましょう。お茶か…、何か温かい物の方が良いですか?」
「……んー……」


イツキは狭いソファの上で伸びをしながら、事務所の隅の冷蔵庫を開ける一ノ宮を見上げる。
一ノ宮はそんなイツキを見ながら、まるで猫のようだと思う。



「……それとも、少し飲みますか?」



何気なく、冷蔵庫のビールを取ると、イツキはニコリと笑った。





posted by 白黒ぼたん at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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