2017年05月29日

今夜のふたり・2







一ノ宮から受け取ったビールを、イツキは缶のまま傾け、すぐに半分ほどは飲んでしまう。
目をとろんとさせて、ふうと息をつく姿は、どう見ても酔っ払いのようだ。
心配げに眺める一ノ宮に気付いたのか、イツキはふふ、と小さく笑い、
「だいじょうぶです」と言いながら、残りのビールも空けてしまう。


「…一ノ宮さんも、飲んで?」
「ええ、はい」


イツキは一ノ宮にも勧め、自分は二本目のビールに手を伸ばす。


「…今日と、……先週も、………だよ。…おれ、偉くない?仕事熱心じゃん」


自嘲気味にイツキはそう言い、鬱憤を洗い流すようにビールを飲む。
行為に、納得している訳ではない事は、一ノ宮とて重々承知している。
それでも、黒川に行けと言われれば、拒めないのだ。


「……そうですね。…お疲れさまです」
「…あいつ、…俺のこと、あんまり外には出さないとか言ってたのに…、…結局こうなっちゃうんだよね…」
「…そうですね。……申し訳ないとは…、思っています」

「一ノ宮さんが謝る事じゃないでしょ。…まあ、俺が、いいって…、仕事…、じゃなくて…、マサヤの手伝いはするって、言っちゃったんだけどさ……」



確かに、以前
清水との一件があった時に、
黒川のご機嫌を取るために、自分の多少の自由を得るために、黒川の言う事を聞くと、約束はしたけれど


ぽろり、ぽろりと回数が増えていく。
次第にそれが、当たり前の事に、なってしまう。





posted by 白黒ぼたん at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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