2017年06月01日

今夜のふたり・終







イツキが寝入って、しばらく経ってから、黒川から電話が入る。
今日の仕事の報告と明日の予定。他に細々とした話をして最後に、ついでのように、イツキの事を尋ねる。



『……連絡はあったか?……あの馬鹿、電話にも出ない。…とっくに終わっている頃だと思うんだが……』
「ああ、イツキくんなら、ココで眠っていますよ」
『………ここ?……事務所か?』



おそらく、連絡が付かないイツキを心配していたのだろうけど、そうは言わない。
相変わらず素直ではない男なのだが、それを汲んでやるにも、若干飽きたという所。



『…大人しく帰ればいいものを…。どうせまたヤリ足りなくて、フラフラ出歩いていたんだろう…。
悪いが一ノ宮、後で送ってやってくれ…』

「…ええ。……ああ、でも社長。…途中でイツキくん、ちょっとお借りしても良いですか?」
『……は?……何だ?』
「今日は彼、とても可愛いんですよ。私も少し、ご相伴に預かろうかな……と」





一ノ宮の応対に、電話の向こうで、黒川が言葉を詰まらせる。
他の相手になら『…勝手にしろ』と放り投げるのだが、こと、一ノ宮となると様子が違うようだ。
本気な訳はない。けれど、冗談など今まで言った試しがない。

もし本気であれば、どんな状況になるのか、想像もつかない。







「冗談です」





黒川が返答に口を開く前に、一ノ宮は軽く笑って、そう言うのだった。





posted by 白黒ぼたん at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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