2017年06月08日

焼き鳥屋にて







事務所の近くの焼き鳥屋で、黒川と一ノ宮は酒を飲んでいた。
仕事の話をざっと済ませ、明日の予定を確認し
鶏皮の塩加減にケチを付け、新しい焼酎のボトルを開ける。




「お前も、くだらない冗談を言うようになったな」


と、黒川が言う。

あまりに突然過ぎて、一ノ宮は何の話だったのか、一瞬戸惑うのだが
すぐに、イツキの話なのだと、気付く。
…いつだって黒川は極力さりげなく、もののついでのように、イツキの事を話す。
むしろ本当はそれが一番の気掛かりなのだと、本人も、解っている。



「…はは。…少しは、驚きましたか?」



先日。事務所で。『仕事』後のイツキと。
勿論、何も無かったのだけれど、何かある風に、匂わせてみた。
一ノ宮がこの手の話をすること自体、極めて稀で、だからこそ、印象に深く残る。



「お前にその気が無いのは知っている。…それでも、…そうだな。…何を血迷ったかと思ったぜ」
「十分あり得る話でしょう?……彼が可愛いのは、あなたが一番ご存じなのですから」



一ノ宮の言葉には、少し、気に障る部分がある。
黒川はグラスに口を付けながらチラリと一ノ宮を伺うと

一ノ宮は黒川の視線を感じながらも、あえて、そちらは向かずに
自分の酒を、静かに飲み続ける。





posted by 白黒ぼたん at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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