2017年06月12日

焼き鳥屋にて・2







お互い、口数は少ない。
たまに何かを話したかと思えば、仕事の話か、追加の焼き鳥を頼むくらいで
本当は聞きたい事も、言っておきたい事もあるだろうに。

いちいち、言葉にしなくても、解っているというヤツなのだろうけど
それでも確認しておいた方がいいことは、世の中には、多々ある。






「……渡辺の社長からも、…小野寺会長からも、まだ、イツキ君を借りたいと、話があるそうですね」
「……ああ」
「…きっぱりとお断りしても良いのではありませんか。…まあ、仕事に支障は出るかも知れませんが、どこかではっきりさせた方がよろしいでしょう?」
「……ああ、そうだな…」



以前のような「仕事」はしないと公言してみてはいるが、相変わらず、イツキへの誘いは多い。
極力回数を減らし、分の良い条件だけを受けるようにはしているが、する事には変わりはない。



「……まあ、イツキもそんなに嫌がってはいないし、多少なら構わんだろう。
所詮、あいつは、そういうヤツだしな…」

「…………私が手を出せば、怒るくせに……」



相変わらずの暴言を吐く黒川に、一ノ宮は小さな声で反論する。
黒川は一ノ宮をチラリと睨み、空になったグラスに酒を注ぐ。




「今日は、やたらと絡むな、一ノ宮」

「…いい加減、この状況に飽きたという所でしょうか。…イツキ君も、いつまでも、子供でも馬鹿でもありませんよ?」

「そうなんだよなぁ…。ふふ。あいつは馬鹿で、丁度良いんだがなぁ…」





posted by 白黒ぼたん at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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