2017年06月13日

焼き鳥屋にて・終







「ふふ。あいつは馬鹿なくらいで、丁度良い…。

……馬鹿で、子供で。……いつまでも何の疑いもなく、俺の言う事を聞いていればいいんだ。

大人しく。


俺の傍にいればいい…」




グラスに口を付けながら、黒川はぽつりと呟き、
すぐに、しゃべり過ぎたと苦笑する。
煙草に火を付け、二、三吹かすと、灰皿に押し付ける。

自分で何を話しているのか、自覚はあるのだ。
酒に酔った時にだけ零れる本音が、忌々しい。



「……飲み過ぎだな…。……そろそろ、出るか…」



最後の酒を飲み干し、黒川は席を立つ。
スーツの内ポケットから一万円札を出し、「ご馳走様」と言って、テーブルに置く。




「……怖い子ですね、……イツキくんは…」
「……うん?」
「あなたに、こんな話をさせるのですから。……だから、故意に距離を取るのでしょう?」


「はは。…俺が怖いのは、お前ぐらいだよ、一ノ宮」





一ノ宮も席を立ち、最後にそう言うと
黒川は笑って



一ノ宮の胸あたりを、ぽんぽんと手で叩くのだった。






おわり







posted by 白黒ぼたん at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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