2017年06月16日
昼休みの三人
「大野、今度の模試、行く?」
「光文社の?…ああ、申し込んだ」
「俺も。あと来月の短期集中コースも」
昼休み。食堂にて。
梶原と大野は受験生らしく、それらしい話をしていた。
話に参加出来ないイツキは紙パックのコーヒー牛乳を飲みながら、適当に、間を潰していた。
「……ほぼほぼS判定は出てるんだけど、一番狙いんトコがちょっと足りないんだよなぁ…。…小論文、…苦手だし…」
「斎藤先生の講義、いいぜ。短期集中で取れるだろ?」
「一応、希望は出してるけど……」
とりあえずの目標が、無事に学校を卒業すること、なイツキには、二人の話はよく解らない。
梶原と大野の様子をチラリと眺め、明後日の方向をぼんやりと眺める。
進学も、就職も、少し悩んでみたものの、結局またよく解らないトコロに来てしまった。
一番に、自分がどうしたいのかはっきり決めなければいけないのだろうけど、
決めた、その後の手順を考えるだけで、気が遠くなりそうだった。
何をするにしても、黒川を通さなければいけない。
酒も飲まず、セックスもせず、面と向かい合って真面目な話をするなど、想像するだけで可笑しくなってくる。
そんなイツキを、梶原は横目で眺め
その様子を、大野が、眺めていた。
「……お前はいつも呑気そうだよなぁ…。ちゃんと考えてんのか?」
ふと、大野がイツキに声を掛ける。
イツキはストローを口に咥えたまま、困ったようにはにかみ
「………まあね」
と、言うのだった。
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