2017年06月18日
部屋で一人
梶原は自分の部屋で一人、黙々と今日の課題をこなす。
一段落すると台所へ行き、カップラーメンを作り、また机に戻る。
狭い公団の一室。テレビ前の座卓が勉強机でもありダイニングテーブルでもあった。
ラーメンを啜りながら、カレンダーを見て、これからの予定を色々確認する。
10月の連休を中心に予備校での短期集中講座がある。
梶原は予備校の生徒ではないが……それは主に経済的な理由からだったが……、一般向けの模試や、集中講座などには参加していた。
やはり自己流の勉強ではムラが出てくるし、情報収集という意味からも、大切なものだった。
志望している大学は…、まあ、圏内かな…という所。
絶対的な自信がある程ではなく、その不安を早く埋めたかった。
それが終わる頃には、学校での面談がある。
普通の進路指導ではなく、特待生への特別なものだ。
梶原の特待生としての条件は、有名大学への合格を含め、模範的な生徒であること。
満たされない場合は、付与された奨学金の返納も有り得る。
面談は、受験を前に、現在の状況を確認するためで、形式的なものなのだが、
それでも学校の役員や理事を前に、話を聞かれるのは緊張するだろう。
「……別に…、普段通り。………大丈夫…、集中できてる。」
自分に言い聞かせるように呟いて、最後のスープを飲み干した。
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