2017年06月20日

抱かれたくない男







都内有数のホテルの上階にある、星の付いたレストランで、イツキは
頬を膨らませ、口を尖らせ、明らかに不機嫌な顔を見せる。
食事も終わり、先方が一服と席を立った隙に
恨みがましく、隣の席の黒川を睨む。



「……もう、小野寺さんとは…、関わらないと思ってた……」
「付き合いだ。仕方ないだろう。…今日はメシだけだ」
「……今日は、ね……」



夕方に黒川と待ち合わせ、向かった先には、小野寺がいた。

以前、イツキに執着するあまり、イツキの父親も含めトラブルを起こし、その挙句イツキが家出をしたり、数億規模の仕事を棒に振ったりと、かなりの遺恨を残した相手なのだが、

二年も経てば、表面上は穏やかな関係になっていた。

好きか嫌いかで言えば、当然、嫌いな相手なのだが、
……それはそれ。大人の付き合いというやつなのだろう。



「…また一緒に仕事、してるの?…」
「少し、な。横浜で…、リゾートホテルの開発があって…、元を辿ったら、奴がいやがった…」
「……ふぅん」


イツキは頬を膨らませたまま、そっぽを向き、ふんと、鼻を鳴らしてみる。


黒川の仕事の手伝いを、するのは、……まあ、多少は…、我慢もするけれど……
やはり、抱かれたくない男というのは、いる。
直接受けた傷よりも、数倍の、嫌な記憶が……付随して、思い出される。
神経が逆なでされ、虫唾が走る。すでに、生理的に、受け入れられないのだ。





「…お待たせしたね。…さて、静かに飲める所に移動しようか」




席に戻った小野寺は黒川にそう言い、イツキを見ては、静かに微笑む。
その視線の奥底に冷たい残忍なものを感じ、イツキは小さく、背筋を震わせた。





posted by 白黒ぼたん at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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