2017年06月26日

距離







二時間目が終わった辺りに、遅刻のイツキはこっそり教室に潜り込む。
目が合った梶原に照れ笑いを浮かべ、自分の席に座り、カバンから缶コーヒーを出す。
何も話が出来なかったのは、すぐに次の授業が始まったためだった。


『朝帰り?黒川さんと、シてた?』


授業中に際どいメッセージを寄越すのは、清水。
あえて返事はしなかったが、少し動揺してしまったのは、イエスと言う事なのだろう。
斜め後ろに座る清水をチラリと睨む。


午前の授業が終わり、昼休み。
いつものように梶原の傍に行き「…今日のランチ、何だろう?」と尋ねる。
梶原は素っ気なく「……さあ」と答え、「…ゴメン、俺、ちょっと図書室」と言う。

ノートやら教科書をガサガサと持って、教室を出てしまう。
廊下の向こうでは、大野が立っていた。






「…メシ、一人とか、珍しいな」

食堂の片隅でサンドイッチを食べていると、清水が声を掛けて来る。

「……先輩。…授業中に変なメール、止めて下さい」
「…はは。図星なんだろ?………今日はあいつら、いねぇの?」

清水はイツキの向かいの席に座り、いつもは我が物顔で隣にいる梶原と大野の姿を探す。


「今日は別です。なんだか、忙しいみたいです」
「…ふぅん。……イツキ、首筋、キスマークついてるぜ?」
「……ついてませんってば!」


そう言いながらも、慌てて首筋を手で隠すイツキを、清水は声を立てて笑う。





端から見れば楽し気な二人のやり取りを

少し離れた食堂の向こうから、梶原は、眺めていた。





posted by 白黒ぼたん at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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