2017年07月04日

今日は一人







放課後。
他のクラスに立ち寄り時間を潰していた清水は、帰り際、何気に食堂の脇を通り抜ける。
もう食事が出るわけでは無かったが、まばらに人が座り、自動販売機のお茶など飲みながら雑談をしていた。

その一角に、イツキが、独りぼっちで座っていた。




「……どした?」
「……あ。先輩。……今、帰りですか?」



清水が声を掛けるとイツキは顔を上げ、ぺこりとお辞儀をする。
見ればテーブルには教科書やノートを広げ、真面目に勉強をしているようだった。



「何?…居残り?」
「そういう訳じゃないんですけど…。覚えている内に、終わらせちゃおうかなって…」
「こんなトコで?」
「少しザワザワしてた方が、何となく、落ち着くんです」



そう言ってイツキはニコリと笑う。
清水は向かいの席に座り、手元の、イツキのノートに目をやる。
少し癖のある丸っこい字が並び、赤ペンで矢印やチェックなどが書き込まれている。

清水がそれを見ている事に気付くと、イツキは恥ずかしそうに、ノートを手で隠す。



「……解んないとこ、結構あって。…面倒臭くって…」
「はは。…つか、なんでこんな時に梶原、いねーの?……いつも一緒にくっついてるくせに」
「梶原は図書室にいると思いますよ」
「……ん?……」




実を言えば、学校内でイツキが一人でいることの方が稀だった。
いつもは梶原は保護者のような顔で、イツキの隣を独占していると言うのに。



「……梶原も、もう勉強、大変な時期だし。……あんまり、俺といない方が、良いんです…」





そう言ってイツキは、静かに、寂し気に、微笑むのだった。



posted by 白黒ぼたん at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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