2017年07月08日

帰り道






一緒に帰るつもりではなかったけれど
駅までの道が一緒なので、とりあえず並んで歩く。
最近、あまり、話す機会のない二人は、奇妙に緊張する。
付き合いたての恋人か、別れたばかりの恋人か、そんな感じ。



口火を切るのはイツキ。

「……加瀬さんと、話してた。……面接が…あるの?」

どうしても気になった事を尋ねる。



「え?……あ、ああ。……ほら、俺、特待生だから。……ちゃんとやってますか?って確認だよ」
「…大変そう。…大学も、受からないとダメなんでしょ?」
「まあね。ああ、でも、平気。俺、結構、頑張ってるから」



「……ごめんね。俺が加瀬さんとまだ付き合ってたら…、少しは、役に立てたのに……」



ぽつりと呟いた最後の言葉は、幸い、梶原には届かなかった。






そんな話をするうちに、あっという間に駅についてしまう。
今までなら、梶原は、一緒にメシでも食おうだの、家まで送るだの、少しでもイツキと一緒にいるための最大限の努力をしたのだけど

それすら、迷う。

そんな戸惑いを察したのか、イツキは軽く手を振って「じゃあね、梶原」と、足早に改札を通り過ぎてしまった。





イツキの背中を見送る、その時になって初めて梶原は

自分が、自分の勉強の為にイツキを遠ざけている以上に

イツキが、自分の事を心配して、距離を取ってくれているのだと気付いた。




posted by 白黒ぼたん at 00:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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