2017年07月09日

想定外






翌日昼下がり。
黒川がマンションに立ち寄ると、イツキは丁度風呂から上がったところの様で
髪の毛を拭きながら、リビングのソファに座っていた。
聞けば、夜中にはこちらに戻り、一眠りして、先ほど起きて来たのだと言う。



「…どうせ、ヤって来たんだろう?」


いつもの、解りきった、馬鹿にした表情で黒川は尋ねる。
自分からそう仕向けたのだ。勿論、それを怒るつもりは無い。ただ、

不本意ながらそうなってしまった時の、イツキの、拗ねた、落ち込む顔が好きだった。




黒川は冷蔵庫から缶ビールを2本取り、リビングのソファに向かう。
イツキを端に寄せると、自分もそこに座り、イツキの目の前にビールを1本置いてやる。
灰皿を引き寄せ、煙草に火を付け、一服する。
そして自分のビールを開け、傾けながら、隣のイツキをチラリと見遣る。


けれどイツキは黒川を見ることもなく、タオルで髪の毛を拭いていた。
首筋には隠せない、夕べの愛撫の跡が残されている。



「…どうした?疲れて声も出ない程、良かったのか?」
「………そうだね、良かったよ」
「…うん?」



軽口に、予想外の答えを返され、黒川は少し驚く。
イツキは…何かを思い出しているのか、髪の毛を拭く手を止め、はにかんだ笑みを浮かべる。



「……優しくしてもらっちゃった。……俺、たまになら、……あんなの、いいかも知れない」
「………は、は。……誰でもいいのかよ?……さすが淫乱だな」

「だって、マサヤは、してくんないでしょ?」




イツキはそんな事を言って、ソファから立ち上がり、洗面所へと行ってしまうのだった。







黒川、内心、大慌てです
posted by 白黒ぼたん at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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