2017年07月12日

夜の駅前







夜の駅前でバッタリ、清水は梶原と出会う。
清水はフラフラと遊び回り、これから馴染みの店に行く途中で
梶原は参考書を探しに大きな書店を回り、今から、家に帰るところだった。


お互い顔を見合わせ、軽く顎を突き出すだけの挨拶で、すれ違ってしまっても良かったのだけど、
うっかり立ち止まってしまう。
そして、丁度目の前にはラーメン屋があり、豚骨の匂いが二人の空腹を煽った。




「大変だよなぁ、受験生。お前なんて、どこでも楽勝なんじゃねぇの?」
「…そんな事ないっす。……あ、俺、味玉チャーシューダブルで」
「俺、全部乗せ。ギョーザ2枚。……な、あいつは?……進路、決まった?」
「……さあ。……でも、まあ、色々考えてるみたいっすよ……」


話す内容と言えば、もちろん、イツキのこと。
全ての手の内を晒し、情報を共有することは出来ないが…それでも小出しに、様子を探る。



「お前さ、自分のおベンキョーも大事だろうけど、……あいつの事もちゃんと見てやれよ?」



目の前に置かれたギョーザの皿を一枚、梶原の方に寄越し
清水は、そう言う。

今までは、保護者面してイツキの傍にいた梶原を、どうにかして引き剥がそうと躍起になっていた清水だったが
ここ最近のイツキの、少し寂し気な様子を見てしまうと、そうもしていられない。



梶原は小皿を2枚並べ、ギョーザのタレを作り、ラー油の小袋を取る。
『イツキのことは、俺がちゃんと面倒見てます』と、すぐに答える事が出来ないのは


確かに自分に、後ろ暗い所があるからだった。





posted by 白黒ぼたん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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