2017年07月14日

夜の駅前・2






「…俺、今ちょっと勉強とか…大変で…。イツキとあんまり…一緒にいてやれないかなって…、なんか、勝手に思ってたんだけど…

気が付いたら、あいつの方が、俺に気を使って…、…俺から距離を取ってる」



梶原はラーメンを啜りながら、まるで独り言のように、話し始める。
イツキの事は、誰にも話せない。
話せないからこうやって、清水の前でだけ、ぽつりぽつり、呟く。



「……学校も休んでばっかりだし、勉強もギリギリだし。いつもフラフラ、なんだか危なっかしくて、
…だから俺、あいつの事助けてやろうって、……守ってやろうって思ってたけど…

なんか、違うのかな。……あいつ……」


箸の先にチャーシューを挟んだまま梶原は向こうを見て、次に続くうまい言葉を探す。
清水はギョーザの小皿にラー油を足しながら、梶原をチラリと見て、ふふと鼻で笑う。



「あいつ、馬鹿なくせに、だろ?」
「ば、馬鹿?……ち、違いますっ」
「あはは。解る解る。……あいつ、馬鹿なくせに、いっちょ前に人の心配、すんだよなぁ…」


ギョーザを食べ、ラーメンを啜り、清水は声をあげて笑った。



「…イツキはさ、自分の事で手一杯なくせにさ、…人のことまで、…考える。
……相手を護るために、自分は身を引いて、チョー、崖っぷちで、落っこちても構わないって感じで。

……うっかり手を放すと、……見失う。

それで自分が護られてると気が付いたときには、もう、遅い……」




今度は清水が、そう、呟いた。
梶原と状況は違えど、同じように、イツキと距離を取ってしまった事を
今は、酷く、悔いているのだった。





posted by 白黒ぼたん at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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