2017年08月16日

意外と簡単







「お疲れさま、イツキくん。もう、帰っていいよ」



約束の時間になると、小野寺はそう言った。
意外と簡単に開放されるのだなと、イツキは安堵するよりも、不安になる。


「……良いんですか?」
「居たいのなら、ずっと居て構わないけど。…ふふ」
「帰ります!」
「そうだろうねぇ。……迎えは?……ああ、エントランスに車を用意させるから…」


小野寺はケータイを取り、何か話す。車の手配をしてくれているのだろうか。
イツキは、小野寺の気が変わらない内にと、慌ててペコリと頭を下げ、足早に、ホールを後にするのだった。





薄暗く気怠い雰囲気のホールを出ると、そこは、普通のホテルの廊下で、イツキは一瞬、頭がくらくらする。
何か酷い悪夢でも見ていたようだ。
身体の芯にはまだ熱が籠っていたけれど、それには気付かない振りをして
とにかく早く、早く、家に帰りたいと歩き……




歩き出したとほぼ同時に、身体がフラつく。
そして、それを待ち構えていたように、すぐに後ろから抱きかかえられる。




「……大丈夫かな?。……疲れちゃったかな? ……こっちで少し、休んで行くといいよ」
「……えっ?……いや、おれ………」
「いいから。こっちに。………早く!」




確認出来たのは、見知らぬ男が二人いたという事だけ。

イツキは口を塞がれ、後ろから羽交い絞めにされ引き摺られ、半ば拉致のように、近くの小部屋に連れて行かれる。




そうやって、意外と簡単に、捕まってしまうのだった。





posted by 白黒ぼたん at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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