2017年08月21日

電話







「…今、どこだ?」


真夜中。
何度目かの、何十回ものコールの後に、電話はようやく繋がり
黒川は安堵というよりも、むしろ怒ったような口ぶりで、捲し立てる。
イツキの小さな声を聞き洩らさまいと、ケータイを耳に押し当て、その向こうの、わずかな気配を探る。



『………いえ』
「品川か。どうしてこっちに来ない」
『…いきたくないから』



すでに小野寺からの連絡はあり、イツキが、どこぞの誰かに乱暴された事は知っていた。
…まあ、概ねそれは、想定内だった。
子供の使いでは無いのだ。男の元に赴き、無事でいられる訳はないだろう。

多少は慰め、労ってやろうとは思っていたのだが、どうにも風向きが、甘い方向にやって来ない。



「……ヤられて来たんだろう?……馬鹿が。…だから俺が迎えに行くと言ったのに…」
『そうだね。どうせ、おれが、悪いんでしょ』
「…ああ。…いや、まあ…、最初からそんな段取りだったんだろうよ」
『まあね。そうだよね。……そんな段取りで、俺を、小野寺さんのとこにやったんだよね』



棘のある物言が、黒川の癇に障る。
もっとも、この男が苛立つ権利も理由も無いのだけど。

「イツキ」と名を呼び、話しかけようとした、ほぼ同じタイミングで
イツキが口を開く。





『話、それだけ?マサヤ。俺、眠いから、電話、切るよ?
……今日は、……3人もエッチしたから、疲れちゃった。…じゃあね』




そうして、
黒川の返事も待たずに、イツキは一方的に通話を終えるのだった。





posted by 白黒ぼたん at 21:57| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
イツキ!よく言った!笑
Posted by みん at 2017年08月22日 20:23
最近ちょっと口ごたえするんですよ♪
裏目に出ないといいけどーw
Posted by ぼたん at 2017年08月22日 22:17
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