2017年08月23日

言葉が雑







黒川とて、イツキを気遣っていない訳ではなかったが、
そのやり方はあまりにも黒川本位過ぎ、肝心のイツキには伝わっていない。

そもそも、
イツキの心や身体を、心配をしなければいけなくなる程の状況に
追いやっていること自体がおかしいのだとは、気が付いていない。







「……まだ拗ねているのか。…夜はこっちへ来い。
…………いいから、来い。四の五の言うな。……8時だ、いいな」


仕事の手を止めて、黒川はイツキに電話を掛けていた。
事務所で待ち合わせをして何か美味しい物でも食べに行き、夜は二人の部屋でゆっくりと過ごすつもりなのだろうが
それにしては言葉が雑だと、端で聞いていた一ノ宮が呆れたように黒川を見る。



「…何か言いたそうな顔だな、一ノ宮」
「いえ、別に」
「…いいんだよ、あいつには、この位で」
「そうですか?」




含みのある一ノ宮の言葉に、黒川は、ちらりと視線を寄越すだけで、返事はしなかった。
一ノ宮の言いたい事は解っていたが

他人を思いやることに慣れていない黒川は、これでも十分だと思っていた。





しばらくすると事務所に西崎がやって来る。
仕事の話をいくつかした後に、一ノ宮と一緒に、どこかへ出て行く。


事務所には、イツキを待つ、黒川一人だけになった。





posted by 白黒ぼたん at 21:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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