2017年09月05日

冷たい視線








「………相手は素人の高校生ですよ?………まったく、呆れた……」



床に散らかった書類やらを片付けながら、一ノ宮は盛大な溜息をつく。
黒川はソファに座りテーブルに足を投げ出し、憮然とした顔のまま、返事もしない。

 




一ノ宮が事務所に戻って来たのは数時間前。
扉を開けると仁王立ちの黒川と、足元にうずくまる梶原と、それを泣きながら気遣うイツキの姿が飛び込んで、
一瞬で、大体の状況を察した。

『……とにかく、出ましょう』

と、一ノ宮はイツキと梶原を事務所の外に出す。
ひとしきり暴れたであろう黒川は、怒りのピークは過ぎたようで、何も言わずに背を向けるだけだった。






「………イツキは、どうした?」

尋ねる黒川に、一ノ宮は冷たい視線を向ける。
しばらく黙っていたのは、せめてもの、抗議のつもりだった。


「………品川のマンションに送りました。……その前に、裏の病院に行きましたよ。
梶原くん、骨は行かなかったようです。打撲と…内出血と……」
「…ふん」
「……通報は…どうでしょうね。向こうの親御さんがどう出るかですが…。また後で話をしに行きますが……」
「適当に金でもやって、黙らせろ」



黒川の言葉に、一ノ宮はまた冷たい視線だけ向ける。
さすがに一ノ宮も、今回は、黒川に非があると思っていたし



実のところ黒川も

自分が悪いと、思っていた。





posted by 白黒ぼたん at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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