2017年09月06日

築30年、団地の5階







病院で処置を終えた梶原は、イツキとタクシーで、自分の団地の部屋に帰る。
頬に青アザができ、口の端を切り、腹と太ももに蹴られた痛みが残るくらいで、幸い大きな怪我ではなかった。

あの男が手加減をした訳では無いだろうが。
まあ、脅し半分。怖い目に遭わせて追い返そうとして、多少、行き過ぎてしまったという所。





「……大丈夫だよ、イツキ。……俺、歩けるよ…」


そう言って気丈にも梶原は微笑むのだけど、イツキは梶原の身体を庇いながら階段を上がり、一緒に部屋に入る。
前に一度、訪れたことがある部屋。
イツキは梶原を居間に座らせ、自分は台所に向かい、水や、濡れたタオルやらを用意する。


「……イツキ…」
「…………ごめん。………梶原。………本当に、……ごめん……」


イツキは梶原よりも青い顔をして、嗚咽を噛み殺しながら、そう言う。
テーブルに水のコップを置くイツキの手は震え、カタカタと音を立てる。


「…ごめんは俺だよ、イツキ。出しゃばった。……なんかさ、言い争ってる声聞いたら、もう我慢出来なくてさ…。
ついカッとなって…、中、入っちゃった…。………ははは」

「………ごめん……」

「だから、いいって。お前こそ、平気?………あの人、怒らせたの…」




この期に及んでも梶原はイツキを気遣う。
イツキはそれが、ただただ申し訳なくて、泣きそうな顔のまま頭を左右に振るだけだった。





posted by 白黒ぼたん at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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