2017年09月12日

決意







「……もう気にすんなよ。……別に、大したアレじゃないよ。
自転車で転んだ、とか…言ってさ。うん。…別に、平気。
……まあ、ちょっと…渋い顔されたけど…。大丈夫。合格すれば問題ないから…」




午後の授業も放課後も、イツキはずっと机に突っ伏したまま。
逆に梶原の方が気を遣い、イツキに明るく、話を振る。

勿論、まったく問題が無いはずが、無い。
特待生の条件は、学業優秀はもとより、模範的な生徒であること。
それが、顔面に、明らかに暴力を受けた傷を付けていたとなれば、面談の教師たちが渋い顔をするのも当たり前だろう。



「な。とりあえず、メシ食いに行こうぜ。結局、約束、まだだったもんな」



梶原がイツキの背中をぽんぽんと叩くと、ようやく、イツキは顔を上げる。
泣き腫らした目と、頬に残ったシャツのシワの跡が、なんとも痛々しい。


目が合うと、梶原は、優し気に微笑む。
それだけで申し訳なくて、イツキは顔を背け、視線を逸らす。
立ち上がり、カバンを取り、荷物を片付け始める。

逆に、困ったように梶原は、小さく鼻息を鳴らす。




「イツキ。本当に。昨日も言ったけどさ。コレは俺が勝手にやった事なんだから……」
「梶原」
「…ん?」

「もし、梶原が困ることがあったら、俺がどうにかするから。……絶対」




視線は合わせないまま、イツキはそう強く、静かに呟いた。




posted by 白黒ぼたん at 21:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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