2017年09月20日

報告







「……まあ、梶原くんの方は大丈夫でしょう。幸い、怪我も大した事はありませんし、親御さんにも見られてはいないようですし。
何より、イツキくんの為にと、事を公にすることを避けてくれると……、ふふ。良い子ですね」



事務所に戻った一ノ宮は、ざっとそんな報告をする。
黒川は相変わらず不貞腐れた様子で、足をテーブルに投げ出し、ソファに深く座っていた。




「…ああ、ただ、彼、受験を控えているそうで…、奨学金を貰うそうなのですが、そちらの方で問題が少々…。
大事な面談があったそうなのですが、あの顔の怪我ですからね…、どうでしょうね…。
影響が無いとよろしいのですが……
イツキくんが酷く心配していましたよ。自分のせいだと気に病んでしまって……」




そう話しながら、一ノ宮は部屋の隅の冷蔵庫から缶ビールを二本取る。
ソファの、黒川の向かいに座ると、一本は黒川にやりもう一本は、お疲れさまという風に少し傾けてからタブを開ける。

飲みながら、ちらりと、黒川の様子を伺うも
黒川はまだ、そっぽを向いたまま。子供じみた態度を見せる。





黒川のような男が、
素人の、しかも高校生に手を上げるなど、あってはならない事だった。
それを、簡単に、してしまう程、
イツキが絡むと、黒川は、実は冷静ではいられない。
………それは、本人が一番良く解っている事で、……一番、認めたくない事だった。





『それほどまでに、イツキくんが愛しくて、大切なのでしょう?』と
言えば、また機嫌を損ねるのだろうと思い

一ノ宮は小さく、小さく、笑った。





posted by 白黒ぼたん at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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