2017年09月21日

一ノ宮のおススメ








缶ビールを2,3本空けて、仕事の話も一通りし尽して、時計を見ればすでに深夜3時。
一ノ宮はテーブルの上を片付けて、そろそろ、帰ろうかという所。


「明日は池袋に寄ってから来るので、遅くなります。…20時に渡辺建設と打ち合わせの予定は、変更ナシですか?」
「……ああ」
「…イツキくん、同伴で?」
「あいつは『仕事』なら、別に構わないらしいぜ」


黒川がそう言って、馬鹿にしたように鼻で笑うと
一ノ宮はチラリと一瞥し、「はあ、そうですか」と、どうでも良い返事をする。

上着を羽織り、カバンを持ち、戸締りをして事務所を出る。
どこかに飲みに行くかと黒川が誘うも、一ノ宮は丁重にお断りする。
通りに出て、タクシーを止めようと手を挙げる。




「………今回ばかりは…」



背後の黒川を振り返りもせず、一ノ宮が呟く。


「…何だよ」
「早急に、素直に、イツキくんに謝る事をお勧めしますよ」
「俺がか?…悪いのは、俺か?」

「そうでしょうね」





やがて止まったタクシーに乗り込み、一ノ宮は、帰ってしまった。
一人残された黒川は、…誰もいないマンションに帰る気もせず…、どこかまた、夜の街へと消えていくのだった。






posted by 白黒ぼたん at 21:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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