2017年09月22日

五分五分







学校の廊下の奥で角を曲がろうとしている加瀬を見付け、イツキは猛ダッシュでその後を追いかける。
加瀬は途中からイツキの存在に気付いていたようで、逃げる様に小走りになるのだが、
所詮、校内のことなので、やがて追い付かれてしまう。



「………加瀬…先生、………話が………」
「困るよ、私に話し掛けないでくれよ」
「……だって…、……電話も、メールも…出てくんな…い……」



イツキにしては頑張ったようで、息を切らし、無駄に喘ぎながら加瀬のスーツの後ろを捕まえる。
加瀬は観念したようで、辺りをキョロキョロ伺いながら、なるべく人目に触れない物陰へと身体を移動させる。



「何?……もう、困るんだよね、君……」



以前とは打って変わったつれない態度。
もっとも、黒川に脅され、下半身丸出しの哀れな恰好で逃げ出す羽目になったとあれば、それも仕方が無い。


「……せんせ…、………梶原…、どうなったの……?」
「…ハァ?」
「梶原。…面談、あったんでしょ?……何か、言われた?」
「……ああ、あれね…」


加瀬は一度眼鏡を外し、また、正しい位置に掛け直す。
目の前のイツキの距離が近すぎて、一瞬欲望がよぎるも、どうにかそれを堪える。




「……あの怪我、君絡み?……あのヤクザ相手?
あれはマズいよ。どこが模範的な生徒だって、スポンサーから怒られたよ。
志望校に全部受かって五分五分。
奨学金の返納はどうかな……。まあ、進学用の補助金は…、無理かもね……」



それだけ言って、後は取り付く島もなく、加瀬はイツキから離れて行ってしまうのだった。





posted by 白黒ぼたん at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/181071037
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
最近のコメント
休日 by ぼたん (10/26)
休日 by みやこ (10/22)
休日 by はるりん (10/22)
イツキとダニー・4 by ぼたん (10/20)
イツキとダニー・4 by はるりん (10/20)
イツキとダニー・3 by ぼたん (10/19)
イツキとダニー・3 by はるりん (10/18)
悪い男達 by ぼたん (10/14)
悪い男達 by はるりん (10/13)
想像 by ぼたん (10/12)