2017年09月30日

左手








一人、黒川は部屋に帰る。
リビングのソファに座り、パソコンを開き、残った細かな仕事を片付ける。

特に急ぎの案件でもないのだが、
一人でやる事もないので、忙しい様子を装う。

水割りの氷が解け、からんと音を立てる。




よく、イツキは黒川の足元の床に座り、テレビを見たり食事をしたりしていた。
黒川は仕事が一区切りつくたびに手を伸ばし、イツキの髪の毛を指に絡めたりしていた。
イツキは大人しくされるがまま。たまに、髪を引っ張られると痛がり、手で払おうとして…
その手を、握られて、そのまま引き寄せられたりするのだった。




傍にいない事が寂しいなど、そんな事を言うつもりはないが
やはりどこか、違和感があり、落ち着かない。
ささいな言い争いや、ひりつく駆け引きが続く時もあったが、そう長くは続かず、すぐに手元に戻ってくると、
………イツキは、何をしても、自分から離れることはないと………、黒川は半ば本気で思っていたので

現状がまだ理解できていない。





無意識に左手を伸ばす。




その先にいるはずのイツキが、いなくて、初めて黒川は虚しさを覚える。
そして、もしかして何か自分のやり方が間違っていたのだろうかと


微かに、思った。







微かかよ!
posted by 白黒ぼたん at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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