2017年10月08日

寂しい男








裏の中華屋で黒川は一人、食事を取っていた。
ラーメンと餃子のセット。
正直、餃子は6個では多すぎるし、デザートに付いて来る小さな杏仁豆腐も要らなかったが、
今日は、分けてやる、相手もいない。


イツキが傍にいない事で何が困るかと言えば
一緒に食事をする相手がいないという事だろうか。
目の前にいて、始終、話をする訳ではないが
なんとなく。いない、というのも、寂しい。



瓶ビールを頼み、グラスに注ぐ。
まだ未成年のイツキが、辺りを伺いながら、こっそりビールを飲む様子も、可笑しかった。
あと一年もすれば公然と酒を飲むことが出来ると
楽しみにしていないと言えば、嘘になる。



「……クソ。……あの、馬鹿…」



意味もなく、悪態を付いてみる。


会って冷静に話をして、至らなかった部分を謝罪すれば、状況は良くなるのかもしれないが
その切欠が無くて困っていた。

以前、イツキが遠くに離れてしまった時とは、違う。
今は、距離的には近くにいるのに、以前よりも遠い。

電話も繋がり、部屋に上がってセックスも出来るが
その先に踏み込む切欠が、理由が、見つからない。






目の前に残った、小さな杏仁豆腐がその答えなのだと
本当は、知っているけれど。





posted by 白黒ぼたん at 00:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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