2017年10月10日

報告








ホテルの部屋に、黒川は秋斗と一緒にいた。

何日か続きの仕事があり、新宿と横浜を往復する毎日だった。
一段落つくのが真夜中になることも日常で、遅すぎる夕食を取り、そのままホテルへ向かう。
部屋で、酒を飲みながら、残りの細かな仕事の話などをして、最後に身体を重ねる。
それは、特に意味も無く、ただ眠りにつく前の軽い運動のようなものだった。



事を終えると秋斗はベッドから起き、シャワーを浴びに行く。
戻って来た時には身なりを整え、帰り支度をしていた。
黒川が少し意外そうな顔を見せると、それに気づいたのか秋斗は黒川の傍に寄る。


「社長にお話ししておきたい事があります」


イツキとは違う、艶めかしさ。多少ずる賢いところもあるが、こんな夜には重宝していた。


「…なんだ?」
「一応、ご報告なんですけど…、僕、今、お付き合いしている人がいます」
「……は?」



たった今、熱く吐息を交わらせた口が、そう言う。



「………リー、か?」
「いえ、全然関係のない、一般の方です」
「……それで?……この仕事から抜けたいとでも言うのか?」
「ああ、いえ、全然。社長との事も含めて、僕の好きにさせてくれる人なので、それは構わないんです。ただ、ご報告しておきたかっただけです」



あまりに淡々とさばけた様子でそう話し、秋斗は黒川に、普通の仕事上がりのように頭を下げて、ホテルの部屋を出て行った。



残された黒川は一人、ベッドの上で呆気に取られていた。






posted by 白黒ぼたん at 23:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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