2017年11月05日

静かな部屋で・1







西崎が逃げ帰る様に出て行き、部屋には、黒川とイツキの二人きり。
奇妙な静けさが、漂う。




イツキは
どこか上の空というか、呆然と言うか、狐に化かされたような、そんな様子で
とりあえず寝室を出て、風呂場に向かう。
シャワーを浴び、西崎に悪戯された痕跡を流し、新しいシャツに着替る。

リビングに戻ると、さっきと変わらず黒川がソファに座っていたので
イツキも冷蔵庫からビールを一本取って、黒川の、足元の…少し離れた場所に、座る。




「……マサヤ…」
「ここの鍵、西崎はまだ、持っているのか…、……まったく」
「…あ、…うん。……そうみたい……」
「鍵を変えるか、いっそ、ここを引き払うか?……向こうに住んだっていい。…学校だって、通えない距離じゃないだろう?」



意外な言葉を聞いた気がして、イツキは顔を上げ、黒川を見るが
黒川は表情を変えずに、二本目のビールを飲む。

今日はなんだか、変な気がする。



「……仕事は?……忙しい?」
「ああ」
「…池袋って?」
「ああ。叔父貴の手伝いがな…、まあ、もう、片付くだろうよ」



一言、一言の後に、沈黙が流れる。
次は何を話せば良いのか困って、ビールを飲む。

こくん、と、飲み込む音さえ、部屋に響く。






「……俺の女、って、……言った」

ようやく、イツキが、尋ねた。


posted by 白黒ぼたん at 22:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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