2017年12月01日

タイミング・11








「……はい。…到着」



マンションの前に着き、清水は車を停める。
今度はちゃんと道の端。余裕で他の車がすれ違うことも出来る。

声を掛けてみたものの、清水はまだ名残惜しそうに、ハンドルに手を掛けたまま。
あのまま、本当に、どこか遠くに逃げてしまっても良かったのに。



「……なんか、上手くいかねぇよな、俺達。…ちょっとしたタイミングとかで、変わっていく…」



シートベルトを外し、ぺこりと頭を下げ、車を降りようとしていたイツキに、清水が最後に小さく呟く。
イツキは顔だけを清水に向ける。

本当は好きだった、とか、数日前ならオッケーだった、とか。
もう今更、言っても仕方のない事なので、とりあえず静かに微笑む。



「ご馳走様でした。……じゃあ…」
「……ああ」



けれど、タイミングが悪かったのは、それだけでは無かった。





イツキが車を下りると、丁度目の前を一台のタクシーが通り過ぎ、停まる。

タクシーからは、スーツ姿の男が出て来る。

そして、清水の赤い車が目に付いたのだろう、何気にこちらを振り返り、イツキ達と目が合う。

男は、黒川だった。





posted by 白黒ぼたん at 21:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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