2017年12月12日

静かな笑顔








「…なんだか、この間、爆発して、言いたい事全部言ったら…、楽になったっていうか…。
別に俺、好きにしてもいいんだな…って…、何、言っても、何、やっても……。
マサヤの傍にいたいなら、いればいいし……、本当に嫌になったら、出ちゃってもいいし…。

そう思えたら、すごい、気持ちが楽になって…、……えっと…」



コーヒーカップを両手で持ちながら、イツキは言葉を探す。
自分の心境を上手く説明したくても、まだ、イツキ自身にも良く解っていないのが実情なのだろう。

それでも確かに、心の枷が外れたように、軽くなったと感じる。
黒川に対しても素直に物が言えるし、思いのほか黒川がそれに対して、きちんと応えてくれるのが嬉しい。



「……だから、まあ、しばらくは……、こんな感じ。またマサヤが『仕事』とか、何とか…、酷いコトさせなきゃいいんだけどね…」

「……しばらくは控える…、みたいな事は言っていましたが…、どうでしょうね……」

「ね。…そう言ってて、また、俺を雑に扱うんだよね…。……繰り返しなのは、解ってるんだけどさ……」



イツキは空になったカップをテーブルに置いて、ソファの上で身体を横向きに伸ばす。
まるで警戒心の無い、気の抜けた様子。一ノ宮の前だから特別に、という訳ではなく、
誰にでも、こんな仕草をして、愛嬌と色気を垂れ流すのが、イツキの悪い癖。




「でも、まあ、それでも、社長の傍にいてあげて下さい。あなたがいないと、彼は、仕事になりませんから」




一ノ宮がそう言うとイツキは顔を上げて、ニコリと笑い
一ノ宮もその笑顔をみて、静かに、微笑むのだった。






posted by 白黒ぼたん at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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