2017年12月12日

シャンプー







真夜中。
黒川は仕事を終えて、部屋に帰る。
この後の誘いを全て断るのは億劫だったが、取りあえずまた今度と、店の女性の手を振りほどく。

スーツに染みた、甘い香水の匂いが鼻につく。







「…おかえりなさい」
「………なんだ。起きていたのか」


玄関も廊下も真っ暗だったが、リビングには小さな照明が灯され、ソファにイツキが座っていた。
もっとも半分眠っていたのか、毛布に包まっている。


「寝るなら、ベッドに行けよ」
「ん。……マサヤの顔、見てからと思って…。……じゃあ、寝るね。……おやすみ」


そう言うとイツキは、ずるずると毛布を引き摺りながら、寝室へ入って行った。





帰りを、待たれるなど、若干面倒臭いな……などと思いながら、黒川は風呂に入る。
甘ったるい匂いもようやく無くなり、濡れた髪をタオルで拭きながら、水を飲もうとキッチンに向かう。
流しの横には、トレイに、伏せたままのグラスが二つと、取り皿と、箸。
冷蔵庫の中には何か作った料理なのか、ラップが掛けられた皿が入っていた。







黒川も、寝室へ入る。


ベッドの中ですでに寝息を立てていたイツキを、抱き締める。


イツキの髪の毛から、自分と同じ、シャンプーの匂いがした。






posted by 白黒ぼたん at 22:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
イツキは良い女房デス。
マサヤに付き合えるオンナはイツキしかいません。
でも、そういう存在って無くしてから気づく事が殆ど。。。。
今後の展開が気になります。
Posted by まる at 2017年12月13日 19:51
もう黒川も、
イツキが大切だと気付いているはずです。
大丈夫。

多分、大丈夫です…
Posted by ぼたん at 2017年12月13日 23:19
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