2017年12月17日
丁度ええ
午後の授業も終わり、
この後、ラーメンでも食べに行こうと言う梶原の誘いをサクッと断り
イツキは教室を出る。
端で見物していた清水が、自分は先日イツキと二人きりでラーメンを食べた、などと
つまらない自慢をするのは、また別の話。
前に住んでいた部屋を経由せず、新しい部屋に向かう道順は、まだ慣れない。
それでなくとも電車が苦手なのだ。同じホームに、違う行き先の電車が入って来ることが、意味が解らない。
それでもどうにか無事に目的の駅に辿り着く。
駅ビルの食料品街で、主婦に交じり、夕食の買い物などをする。
「……でも、マサヤ、食べないんだよなぁ…。ほぼほぼ、いないし。
俺が学校の間は寝てるし、夜は、仕事行くし。……すれ違いの生活ってやつか!」
総菜のパックを手にしながら、イツキはひとりごちて、笑う。
せっかく同じ部屋に暮らしているというのに、一緒にいられる時間は短い。
けれどイツキは言うほど、残念に思っている訳ではない。
むしろ、始終べったり寄り添われるよりは、この位が丁度良いような気がする。
一緒にいる時は、溶け合ってしまうほど、濃密な時間を過ごすのだから。
部屋に帰り、買ってきた食材を冷蔵庫にしまう。
流し台には、昨日用意していた皿が、空になって、置かれていた。
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