2017年12月18日

食べ頃







その夜、黒川は一ノ宮と一緒に、取引相手の事務所を訪れていた。
仕事の話をいくつかして、不動産絡みの書類に押印する。
役所や、一般の企業も関わる案件は、とにかく手続きが面倒で手間が掛かる。
一通り終わった後は場所を変えて、取引相手と酒を飲む。
呼ばれて、華やかな女性が隣に座った時には、すでに日付は翌日に代わっていた。


黒川は腕時計に目を落とし、一ノ宮に、そろそろ出ようと目配せする。
一ノ宮も好きで同席している訳ではないが、なかなか、酒宴を抜けるタイミングは難しかった。



「…黒川くん、あの子、呼んでよ。…黒川くんの秘蔵っ子。…イツキくん、だっけ?」


少し白髪の交じった初老の男は、眼光鋭く、洋酒のグラスを傾ける。
イツキとは以前何度か、引き合わせた事がある。
別段変な趣向も無いし、金払いも良い、上客だった。


「……あれは、…最近、表には出さないんですよ」
「この前もそんな事、言ってたじゃない。…出し惜しみ?、…やらしぃなぁ…」
「はは、そんなものじゃ無いですよ。…あれも、もう、とうが立ちましたから」
「まさか、まだ未成年でしょ?……今が食べ頃じゃない」



男はそう言って、笑う。
黒川も付き合い、愛想笑いを浮かべる。

一ノ宮は隣で酒を飲みながら、成り行きを伺う。





posted by 白黒ぼたん at 21:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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