2017年12月20日

苦笑い








「…あの子、いいよねぇ…。可愛いのに、色っぽくて…。……会いたいなぁ…」
「……申し訳ない」
「…駄目?」
「…申し訳ない」


一度断られてもまだ食い下がる男に、黒川は、曖昧な笑みを浮かべ、やり過ごす。
代わり、にもならないが、新しいボトルを入れ、店の綺麗な女性を隣に並べる。

ムキになって大喧嘩をする程、男も馬鹿ではない。
過分な接待に、とりあえず、その場は収めることにする。



男とて、別に相手に不自由はしていない。
商売女も素人でも、イツキのような少年だって、用意できる立場だろう。

…それでも、「イツキ」は別格だったし、何より
自分の手に入らないという事が、余計に、男をその気にさせた。





結局、この夜はこれ以上何事もなく、終わる。
『次は必ずね』と、帰りがけに言う男に、黒川は最後まで苦笑いを浮かべる。






「………クソ。……あのエロジジィ…。…いい気になりやがって。……クソ」


帰りのタクシーの中。少し酒に酔った黒川は、憮然とした表情で悪態をつく。

横に並ぶ一ノ宮は、まあまあ、とたしなめながらも

どこか、楽しそうなのだった。







posted by 白黒ぼたん at 00:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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