2018年01月10日
最初の事件・3
帰って来た黒川は、普通に、疲れたとネクタイを解きながらソファに座る。
イツキはコーヒーを淹れ、黒川の前に置き、自分は
いつもの黒川の足元…ではなく、ソファの黒川の隣に座る。
「……うん?」
「俺、レイプされちゃった」
別段、何でも無かったことのように、イツキは明るく、そう言って見せる。
黒川も一瞬驚いた顔をしたものの、すぐに、どうでもいいという風に、ふんと鼻を鳴らす。
「馬鹿め。酔っぱらって、街中でも歩いていたのか?」
「違うよ。…学校の帰り。………急に…」
「知っている奴か?」
「わかんない。……知らない人…だと、……思う」
黒川はもう一度、ふんと鼻を鳴らし、煙草を口に咥える。
ライターをカチカチとさせるも、火は、なかなか着かない。
「………ちょっと、…………怖かった……」
小さな、小さな声で、隣のイツキが呟く。
黒川は、火の着かないライターをテーブルに投げ、
傍らのイツキを抱き締めた。
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